「生命保険料を安いプランに変えたい」
「出産を機に生命保険を見直したい」
「ライフステージに合ったプランを選べているか不安…」
このように生命保険について、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、生命保険はライフステージごとに定期的に見直した方がお得です。その時に必要とされる保障だけを残し、不要な保障を解約することにより、保険料が削減できるためです。
しかし、保険の見直し内容・タイミングを誤ってしまうと、必要な保障がされなくなってしまうなどの弊害が発生することもありえます。
そこで今回は、FP2級・AFPの資格を持つ筆者が、生命保険の見直しについて以下の7点を解説します。
- 生命保険見直しの目的・メリット
- 生命保険の見直しタイミング
- 生命保険を見直すべきライフステージの変化
- 生命保険の見直しポイント
- 生命保険見直しのときの注意点
- 生命保険の見直しをスムーズに進めるために準備すべきこと
この記事をご覧になると、生命保険の見直しタイミング・ポイント・注意点が分かるため、生命保険の見直しのときに慌てずに済むでしょう。ぜひ、最後まで読んでみてください。
生命保険見直しの目的・メリット
生命保険見直しの目的は、ライフステージごとに必要な保障を備えながら、家計への負担を抑えることです。ムダに加入している生命保険の整理を行い、不必要な支出をカットすることで、ゆとりのある生活が送れます。
また、現在の医療技術はAIなどの活用もあり、進歩のスピードが速くさまざまな新しい医療技術や治療方法が生み出されています。古い生命保険では、新しい治療方法で医療行為を受けたときに、保障の対象外となってしまう可能性もあります。そのため、生命保険を見直すことはメリットがあるわけです。
生命保険の見直しタイミング
生命保険を見直すタイミングとしては、大きく以下の2つがあります。
- 保険の更新時期
- ライフステージの変化
それぞれの見直しタイミングの詳細について、詳しくみていきましょう。
1.保険の更新時期
定期保険の場合、保障期間が10年・20年などあらかじめ決まっています。そのため、満期を迎えたときに更新手続きを行うか、他の保険への切り替えをするか検討する必要があります。そのため、生命保険の見直しが必要です。
2.ライフステージが変化したとき
自分自身または家族のライフステージが変わったときには、生命保険の見直しを行う良いチャンスです。なお、ライフステージは大きく分けて6つあり、それぞれのステージで生命保険を見直すポイントが異なります。
各ライフステージごとの具体的な生命保険の見直しポイントについては、次項で詳しく紹介していきます。
生命保険を見直すべきライフステージの変化6選
先ほども紹介したように、ライフステージには以下の6つがあります。
- 就職したとき
- 結婚したとき
- 子どもが生まれたとき
- 自宅を購入したとき
- 子どもが独立したとき
- 定年を迎えたとき
それぞれのライフステージの変化において、生命保険を見直すべき理由・見直すポイントについて紹介します。
1.就職したとき
若いうちは、病気やケガのリスクは比較的少ないものです。しかし、収入や貯蓄が一般的に少ないため、万が一病気やケガで働けなくなってしまった場合、すぐに生活が苦しくなってしまう可能性があります。
そのため、突然の病気やケガに備えて、生命保険に加入し最低限の医療保障は確保しておきましょう。
また、若いうちに終身保険に加入すると、高齢になっても保険料は変わらないことから、保険料の負担軽減には効果的です。一方、今後起こるライフステージである結婚・出産を考慮すると、まずは10年や15年の定期保険に加入し、ライフステージが変化したタイミングで保険を見直すという方法もあります。
2.結婚したとき
結婚をすると、自分に万が一の事態がおきたときに遺されたパートナーの生活費も補わなければならないケースがあります。こういった場合には、終身保険や定期保険などの死亡保障を手厚くする、あるいは新たに収入保障保険などに加入し、遺されたパートナーの生活に不安がおきないように、保険の見直しをする必要があるでしょう。
なお、共働きで子どもがいない場合には、死亡保障は不要という考え方もあります。ただし、その場合も家賃や住宅ローン、食費などの支出が自分とパートナーによるダブルインカムが前提となっているときは、注意が必要です。自分またはパートナーのどちらかが長期間働けなくなることを想定して保険を見直した方がよいでしょう。
具体的には、お互いの収入を補うために医療保険やがん保険を手厚くしたり、就業不能保険に新たに加入するといった保険の見直しを考えてみるとよいでしょう。
3.子どもが生まれたとき
出産して子どもが生まれると、守るべき家族が増えることから必要な保障額もさらに大きくなります。結婚した当初はパートナーの生活費だけ考えればよかったですが、子どもについては、生活費はもちろんのこと教育費も必要となります。
教育費の金額と必要になる時期はあらかじめ予想できます。そのため、資金計画が立てやすい特徴があります。教育費の準備には、「こども保険(学資保険)」に加入することも1つの方法です。
こども保険は単に学資を積み立てるだけではなく、親に万が一のことがあった場合には、その後の保険料払込が免除になるとともに、満期保険金やお祝い金は予定通り受け取れる保険です。
そのため、こども保険は死亡保障としての側面もあります。こども保険は加入を検討してみる価値があるため、妊娠中に保険の仕組みを調べ、自分の家庭での必要性をじっくり考えるとよいでしょう。
また、保険を見直すときには、以下の2つのポイントに着目しましょう。
- 万が一のときに必要とする保険に加入しているか
- 死亡保障や医療保障額が足りているのか
ただし、妊娠中の医療保険の見直しには注意が必要です。妊娠中に保険に加入すると、妊娠・出産に関わる治療については、保障対象外となるケースがあるからです。
4.自宅を購入したとき
自宅を購入するときには、多くの人が住宅ローンを組みます。住宅ローン返済期間中は住居費相当分の保障について、死亡保障額から減額することも可能となります。
住宅ローンの多くは、ローンを組む際に団体信用生命保険への加入が求められます。団体信用生命保険とは、ローン返済中に契約者が万が一亡くなった場合に、以降の住宅ローンの返済が免除される保険のことです。そのため、住居費相当分の保障は死亡保障額から減額できるわけです。
しかし、団体信用生命保険はあくまで住宅ローンの返済が免除されるだけであり、遺族が自由に使えるお金をもらえるわけではないので、家族の生活費や教育費のために死亡保障自体は残しておいた方がよいでしょう。
5.子どもが独立したとき
子どもが学校を卒業し、社会人として就職・独立をした場合には、子どもの生活費や教育費といったお金は不要になります。そのため、保険を見直し死亡保障や収入保障保険の保障額を減らすことも可能です。
保障額の減額に伴い、保険料の支払い額も減らせるため、家計に余裕が出る場合もあります。家計に余裕ができた分は、貯蓄や投資・あるいは個人年金保険や変額個人年金保険などに資金を回し、老後資金の準備に充てたり、介護や医療の保障を充実させるといった選択肢も考えられます。
6.定年を迎えたとき
自分自身が定年を迎えると、老後資金のほかに遺産分割も気になるのではないでしょうか。万が一のときの葬儀費用や、相続で遺族がもめないようにするための相続対策としても保険が活用できます。
生命保険金は相続財産に含まれず、あらかじめ決められた保険金受取人固有の財産とみなされるため、相続手続きを経ることなく保険契約で指定した保険金受取人がすぐに保険金を受け取れます。
こうした生命保険の特長を理解し保険の見直しを行っておくと、万が一のときに相続などで遺族が困ることも少なくなるでしょう。
生命保険の見直しポイント4選
実際に生命保険の見直しを行う際にポイントとなるのは、以下の4点です。
- 不要な保障はないか
- 保障額が多すぎないか
- 保障が重複していないか
- 保障期間は最適か
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
1.不要な保障はないか
そもそも保険に加入した目的を考え、必要な保障を必要な金額だけ準備するようにしましょう。ライフステージの変化により、すでに過剰となっている保障は契約から外すなど、不要な保障はないか必ずチェックが必要です。
逆に、必要な保障に加入してなく、実際は保障に入った方がよい場合もあります。このようなときには、その保障が必要となったときに保険金が下りないため、自分自身や家族の暮らしを守ることができなくなる可能性もあります。
そのため、保険見直しの前には今必要とする保障内容をしっかり把握しておきましょう。
2.保障額が多すぎないか
加入している保険の保障額が、現在のライフステージからみて過剰な場合は、保障額の減額や保障の打切りなどを行いましょう。保障額が多いということは、保険料の支払い額も多いわけであり、不要な支出といえるわけです。
そのため、保険見直し前には、現在のライフステージからみて妥当な保障額はいくらくらい必要となるかを整理しておく必要があります。
3.保障が重複していないか
生命保険の場合、複数契約している場合には契約ごとにそれぞれから保険金が支払われます。ただし、保障内容に重複がある場合は保障額が過剰である可能性が高く、必要以上に保険料を支払っていることになるでしょう。
複数の保険に同じ保障がついている場合には、重複している保障内容について、一方を解約するなど保険の見直しが必要となります。
4.保障期間は最適か
たとえば、子どもの教育費のために加入した保険の保障期間が終身である場合、いつか子どもは独立することを考えれば、終身とすることが目的にそぐあわないことがわかります。そのため、保険見直し前に定期保険で一定期間のみの保障にするか、終身保険で一生涯の保障にするかといった、保障期間の観点でもチェックしておくことが必要です。
生命保険見直しのときの注意点
生命保険見直しにあたって、注意しておくべきことは以下の3点となります。
- 保険料が高くなることがある
- 健康状態によっては新たな保険に入れないこともある
- 保険商品(がん保険など)によっては免責期間がある
一般的に、同じ保障内容・保障金額であれば、年齢が高くなるほど保険料も高いです。また、保険見直しによって新たな保険に加入する際に、一定期間内で病気になったり手術したことがあると、その保険に加入できないこともありえます。
そのため、保険見直しのために新しい保険に加入するときは、新しい保険の契約・従来の保険の解約の順序を誤ると、無保険状態となってしまうことがありえます。新たな保険の契約が成立後に、従来の保険を解約するようにしましょう。
加入する保険に免責期間が設定されている場合、免責期間中(一般的に90日間または3ヶ月)は保険契約後であっても保障が適用されません。免責期間が設定されている保険の代表的なものが、がん保険です。
免責期間の開始日は、保険会社によってまちまちとなっています。なお、免責期間であっても保険料の払込は必要です。
保険の見直しによって、がん保険を乗り換える場合には、新しい契約に加入してもすぐに従来の保険を解約せず、新しい保険の免責期間が終了してから解約することをおすすめします。
生命保険の見直しをスムーズに進めるために準備すべき3つのこと
生命保険を見直すにあたって、以下の3点を準備しておくとスムーズに手続きが進みます。
- 現在の契約内容の把握
- これから発生するリスクを把握
- 月々の支払い可能な予算枠を把握
それぞれの事前準備項目の詳細について、以下に紹介しましょう。
1.現在の契約内容の把握
保険の見直しを行う前に、そもそも現在加入している保険の契約内容を把握することは、非常に大切です。契約内容は、契約時に受け取る保険証券や約款に記載されています。契約内容の中で、特に確認しておくべき点は以下の5点です。
- 保険金額と受取時期
- 保険料と払込期間
- 特約の内容
- 保障内容が重複していないか(複数の生命保険に加入している場合)
- 更新時期(定期保険の場合)
2.これから発生するリスクを把握
次に、今後発生が予想されるリスクの把握を行います。生活状況が変われば、備えるべきリスクも変わります。現在の生活状況を踏まえ、今後どのようなリスクに備える必要があるのかを洗い出してみましょう。
具体的なリスクとしては、子どもの教育費・老後の生活資金など、個々の状況によってさまざまなリスクが考えられます。自分自身や家族の身に起こりうるリスクを想定し、保険見直し前にそれらに対応できる保障内容を検討する必要があります。
3.月々の支払い可能な予算枠を把握
保険料に充てられる月々の予算を事前に確認しておくことも重要です。月々の上限の保険料額を意識しておくことで、スムーズに保険の見直しができます。
なお、一般的には年齢が上がるにつれて保険料も上がります。歳を重ねれば重ねるほど、保険料は高くなるものだと想定して、家計の収支を計算しておくとよいでしょう。
生命保険の見直し手続き
生命保険の見直し手続きは、生命保険各社とも自分の担当の保険担当者・電話・公式サイトから可能となっています。
保険の見直し前に、保険商品の内容を詳しく知っておきたい場合には、自分の担当の保険担当者に見直し手続きを依頼するとよいでしょう。
保険見直し内容がすでに明確である場合には、電話または公式サイトから手続きすることをおすすめします。
ぜひこの記事を参考に、保険の見直しについて家族と相談してみましょう。
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